会長挨拶

第37回日本コミュニケーション障害学会学術講演会の開催にあたって

第37回日本コミュニケーション障害学会学術講演会

会長 長谷川和子

 このたび、第37回日本コミュニケーション障害学会学術講演会を長野県で開催させていただくことになりました。
 人間は言葉によるコミュニケーションを行なう唯一の種として、言葉に依存しそれを駆使しています。しかし近年、高齢化によるコミュニケーション機能の低下や発達障がいによる対人関係の困難さなど、コミュニケーションのあり方や障がい像は多様化しています。また本学会員が、嚥下障害を抱える方々への対応を求められる場合も増えており、コミュニケーション障がいを専門にしてきた私たちの領域は、ますます多様な広がりを見せています。
 その一方で、医療や福祉、教育における国の施策は厳しさを増し、質量ともに充分な援助が出来ないままに、臨床の現場ではそれぞれに苦労されていることと思います。
 そのような状況の中で、今回のテーマを「コミュニケーションの原点を探る」といたしました。あえて原点としたのは、人と人との関係性そのものに基盤を置いた脳の神経機構の研究も少しずつ進んできている中で、コミュニケーションの原点を再確認することが、障がいを抱える方々が社会で共生するための援助の方向や方法を探り、それを発信するための基盤として、改めて重要になっていると思われるからです。
 特別講演は、人類学者の菅原和孝氏です。ブッシュマンの相互交渉や会話について長年研究してこられたと同時に、自閉症のご子息を育てられた父親としてのお立場から、大会テーマに沿った御講演をお願いしております。
 シンポジウムⅠ「高次脳機能障害者が社会とつながるために」とシンポジウムⅡ「障がいの重いこどもたちとのコミュニケーションを再考する」では、大会テーマを深めると同時に、それを臨床的にどのように展開するのかを討論していただく予定です。体験セミナー「最近のコミュニケーションテクノロジー」では、最近の進んだ技術が何を可能にしてくれるのか、実際に体験しながら考える機会にしたいと思っております。特別公演は、演劇公演も行っている長野失語症友の会がワークショップを展開します。会長講演も短時間ですが、させていただきます。
 一日目の夜には、懇親会を開催し、長野の名産を味わいながら親睦を深めていただく予定です。また、会場は善光寺に近く、会期中は信州の山並みも緑あふれる頃です。本学術講演会が、皆様の英気を養っていただく機会になれば幸いです。多くの方のご参加を心よりお願い申し上げます。

開催会場
JA長野県ビル

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JA長野県ビル

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